【図解】経理の原則
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このページの最終更新日:2021/10/07

会計ソフトの選び方 ~各機能の説明・日々の処理の流れ~

このページの内容

経理初心者の方向けに、会計ソフトの機能をご紹介します。
会計ソフトの機能を大きく分類すると、伝票入力、および、印刷書類(貸借対照表や損益計算書など)になります。順番にご説明します。

<機能目次>
PCでの操作
日々の伝票入力
印刷書類
その他
スマートフォンでの操作


たくさんの機能がありますので、以下の記号が付いた機能を中心に確認いただくとよいと思います。

[記号の見方]
→ 一般的によく使うと思われる基本機能

→ 経理初心者向けの機能

→ 大幅に省力化できる機能 (利用される方の状況によります)
経理業務は会計ソフトに任せて、本業に集中したい方は、重視するとよいです。


経理業務の流れは、
 ①日々の伝票入力・支払処理 (ほとんどこの作業です) → 
 ②毎月末、勘定科目別・補助科目別の残高があっているのか確認 → 
 ③年度末、貸借対照表・損益計算書の作成 → 
 ④年度末、確定申告書等の税務書類の作成(個人事業主の場合)
です。
詳細は、第1章 個人事業主・法人の会計[全体像] ページをご覧下さい。

インストール型会計ソフトは、1年に1回バージョンアップしますが、通常、バージョンアップしなくても、
 ①日々の伝票入力・支払処理 (ほとんどこの作業です) → 
 ②毎月末、勘定科目別・補助科目別の残高があっているのか確認 → 
 ③年度末、貸借対照表・損益計算書の作成 
までは作成できます。
そのため、自力で③確定申告書を作成できれば、一度、購入した会計ソフトをバージョンアップせずに利用し続けることもできます。


日々の伝票入力
日々、現預金の入出金、仕入、売上時は、仕訳伝票を入力します。
以下の通り、取引の入力方法はたくさんあります。


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 「機能」「簡単操作」「サポート」「費用」を徹底比較!

 

※リンクのないソフトは、「会計ソフト比較解説」トップページにあるランキングでの紹介だけです。

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振替伝票入力 最も基本的な複式簿記による入力方法です。
以下のように、借方(左側)と貸方(右側)に取引を入力します。このような記入方法を仕訳といいます。


  勘定科目(借方) 金額 勘定科目(貸方) 金額
2/2 水道光熱費 500 普通預金 500
2/4 旅費交通費 700 普通預金 700

経理が初めてという方は、会計ソフトのFAQやインターネットなどで取引を検索すると、この仕訳が出てきますので、そのまま入力します。
仕訳の仕方を知りたい方は、個人事業主・法人の会計 複式簿記による仕訳の仕方(借方・貸方のコツ) ページをご覧ください。


※画面レイアウトは、項目の並び順の違いにより、以下の2種類あります。会計ソフトによっては、両方のレイアウトを選択できます。
項目の並び順 メリット・デメリット
①仕訳(借方→貸方)→摘要 重要な順番に並んでおり、借方と貸方の勘定科目コードが分かる場合は、最初は片手だけでテンキー入力できます。また、複合仕訳も入力しやすいと思います。そのため、好みや慣れにもよりますが、個人的には、こちらの方がおすすめです。ほとんどの会計ソフトが、こちらのパターンです。
②借方→摘要→貸方
(コクヨ形式といいます)
摘要が真ん中にあるので、取引内容は見やすいのですが、重要な仕訳(借方→貸方)をやや確認しにくいと思います。

帳簿形式の入力 家計簿やこづかい帳のような入力方法です。
一つの勘定科目を固定して、相手科目をまとめて入力するときに便利です。


どの勘定科目を固定するかによって、「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」などの帳簿があります。
例えば、「預金出納帳」であれば、「普通預金」を最初に固定して、相手科目と金額等を連続入力していきます。預金通帳を見ながら、1か月分をまとめて入力するときは、通帳の内容をそのまま写すようなイメージで入力ができますので、分かりやすく、効率的です。
多くのソフトが対応している印象です。

↓振替伝票と比べると、「普通預金」を1回だけ入力すればよいので、効率的です
固定する勘定科目 普通預金

  相手科目 収入 支出
2/2 水道光熱費   500
2/4 旅費交通費   700

取引種類の選択による入力
経理初心者向けの機能です。
以下の手順で取引を入力します。
Step1 取引種類の選択。取引種類は、例えば、「預金に預け入れ」「商品を現金販売」「短期の借入」など。
Step2 日付と金額を入力

銀行の取引データ取込 銀行・クレジットカード・その他(Amazon、nanaco 、楽天市場、ReceReco など)の取引データを取り込んで伝票を起こします。

一般的には、クラウド会計ソフトは対応しています。
一方、インストール型の対応は、ソフトによって異なります。仮に対応していても、最新バージョンなどの使用条件がありますので、毎年費用が発生します。

この機能は、以下の通り、大きなメリットがあります。預金取引の多い方は、大きく効率化できます。
○経理初心者の方に分かりにくい勘定科目を取引明細より推測して自動提案してくれます。学習機能があるので、利用するたびに精度が高くなります。
○内容を確認していくだけで自動を仕訳を起こすことができるので効率的です。銀行取引やクレジットカードの取引が多い方は、データの入力ミスが減り、入力作業を大幅に省力化できます。

クレジットカードの取引データ取込
その他データ取込
家事按分[個人事業主用] 青色申告の場合、自宅で事業をしている方が家賃などを支払ったとき、事業と関連のない部分は、家事関連費として必要経費から除外することができます。
家事按分の機能を使うと、経費科目ごとに家事と事業の割合を登録するだけで、自動的に按分する仕訳を作成します。



上記の入力をすると、以下の書類が自動的に作成されます(対応書類は会計ソフトにより異なります)。


印刷書類

●書類の分類
一般的に、○○ 帳 という書類は、特定の勘定科目の「取引明細」を見たいときに使います。例えば、「総勘定元帳」です。
一般的に、○○ 表 という書類は、一時点の残高を確認したり、一定期間の金額を集計するときに使います。例えば、「残高試算表」、「補助残高試算表」、「月次推移表」などです。


●毎月末の処理の流れ
一般的なスケジュールは、以下の通りです。会社の規模、方針などに応じて、調整して下さい。
  1. 毎日
    現金の入出金時に、残高試算表で、現金の残高を確認します。
    現金は、入出金があった日に残高を確認したほうが良いです(後で、不一致があったとき、原因を特定するのが困難なので)。

  2. 毎月末
    預金については、補助残高一覧表で、各口座ごとに預金残高を確認します。残高があわないときは、総勘定元帳で日別の取引や残高を確認し、どこが誤っているか確認します。そして、伝票を修正し、残高を合わせます。
    売上については、残高推移表を確認しておくとよいと思います。




簿


総勘定元帳 勘定科目を指定し、その勘定科目の日々の取引明細を確認できます。
例えば、1日の終わりや月末に、現金の「取引明細」を確認したいときに使います。

残高試算表 この「残高試算表」は、各勘定科目の「残高」を確認するときに使います。
例えば、1日の終わりや月末に、会計ソフトの現金残高と手元の現金が一致しているか確認するときに使います。

弥生会計の場合、残高試算表は以下の通りです。
やよいの青色申告の残高試算表
 マウス置くと拡大



通常、この「残高試算表」で、貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書(※)を確認できます。
※製造原価報告書は、ソフトによっては対応していません。製造業の方は、これに対応したソフトを選ぶことが必須になります。

補助残高一覧表 勘定科目を細分化したものを補助科目といいます。「補助残高一覧表」は、この補助科目別の「残高」を確認するときに使います。
例えば、普通預金の補助科目は、各銀行です。補助科目を設定しておくと、月末に、普通預金の銀行別残高を付き合わせることができます。

残高推移表 月別の残高推移を確認できます。例えば、売上の推移など確認できます。

ほとんどのソフトは対応していますが、ソフトによっては選択プランにより対応していません。
インターネットやエクセルなどを使って売上の推移が確認できる場合などを除き、できればあった方がよい書類だと思います。



所得税確定申告書B 該当年分の所得税確定申告書Bを作成するためには、通常、毎年費用が発生します(インストール型の場合は、最新バージョンやサポート加入などの使用条件がありますので、毎年費用が発生することになります)。

この所得税確定申告書Bは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成することもできます。
会計ソフトは、毎年バージョンアップしますが、バージョンアップしなくても、貸借対照表と損益計算書は作成できます。費用を節約したい方は、

決算書[法人用]
青色申告決算書・収支内訳書(白色申告用)[個人事業主用]
貸借対照表と損益計算書などを決算書といいます。この決算書を作成するためには、通常、毎年費用が発生します(インストール型の場合は、最新バージョンやサポート加入などの使用条件がありますので、毎年費用が発生することになります)。

ただし、前述の「合計残高試算表」でも、貸借対照表と損益計算書を確認できます。

消費税申告書(一般用・簡易課税用) 消費税を申告する事業者は使います。
原則として、前々年の課税売上が1000万円以下の場合は、免税事業者となります。

ほとんどの会計ソフトは、消費税申告書が印刷できなくても、消費税の集計ができます。消費税の集計ができれば、個人事業主の場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成することもできます。

固定資産台帳/減価償却費の計算 高額な備品などを購入した場合は、減価償却という手続きが必要です。個人事業主・法人の会計-有形固定資産と無形固定資産の購入ページにあるように、この計算は、非常に複雑で難解です。
通常、会計ソフトには、この計算をする機能が付属していますので、必ず利用することをおすすめします。

勘定科目内訳書  

キャッシュフロー計算書 貸借対照表や損益計算書では表現しきれない現預金の流れを表す書類です。営業活動、投資活動、財務活動の3つに区分して表示します。
損益分岐点分析  
予算実績管理  
請求書・見積書・納品書


その他
仕訳伝票のCSVインポート・エクスポート Excelなどのソフトがある程度使える方は、「仕訳伝票インポート・エクスポート」を活用すると、以下のような作業を大きく効率化することができます。
・CSVファイルやエクセルで、取引をまとめて入力したり、計算した結果をインポート。特に、まとめて現金取引を入力したい場合は、有効な方法です。
・銀行やクレジットデータなどの外部データを加工してインポート。
・会計ソフトの導入、または、将来会計ソフトを入替する場合の仕訳伝票データ移行(仕訳伝票を移行する必要がある場合)。
・銀行・取引先への情報提供、支払調書作成などのため、伝票データをエクスポートして、Excelで加工してちょっとした資料を作成。
上記以外にも、今後、外部ソフトとデータのやり取りが必要になった場合、柔軟な対応ができません。
以上が全く問題ないという方を除いて、この機能のないソフトは、あまりお勧めしません。

※CSVファイルからではなく、エクセルファイルから直接インポートできる会計ソフトもあります。

印刷書類のエクスポート
(ExcelまたはCSV形式)
元帳、残高試算表などの書類をエクスポートして、Excelなどでデータ加工できます。
上記「仕訳伝票のCSVエクスポート」と同じように、できればこの機能があった方が便利です。
ほとんどのソフトは対応しています。

部門管理 伝票入力時に部門を登録することができます。
法人で、ある程度規模が大きくなると、必要になる機能です。総務部、営業部など部門別にどれだけ費用が発生しているかなど管理することができます。





スマートフォンでの操作
主に、クラウド会計ソフトでは、PC版の他に、スマートフォンのアプリを使うことができます。
外出先やスキマ時間を有効活用したい方は、確認いただくとよいと思います。
入力 手入力 基本的には、領収書等を見ながらスマートフォンで手入力するのは、効率的ではありませんし、余り現実的ではないと思います。もしも、外出先でスキマ時間を有効活用したい場合は、やはり、ノートPCを持ち歩いてPC版で入力する方がよいかと思います。

しかし、freeeのようにスマートフォンのアプリから、銀行データ等の自動仕訳を利用できるソフトもあります。この場合は、勘定科目が自動提案されるため、特に定型的な取引は、スキマ時間を使って、簡単に登録できます。

レシート取込 現金取引の入力方法は、主に以下の3種類あります。
①手入力
②仕訳伝票のCSVインポート
③スマートフォンのカメラ、または、スキャナを利用したレシート取込

ここでご紹介する③レシート取込の流れは、一般的には以下の通りです。あわせて、電子帳簿保存法を利用すれば、保管コスト削減なども可能です(※)。
クラウド会計のレシート取込の流れと電子帳簿保存
拡大


(※)電子帳簿保存法の改正により、レシートなどの電子保存などの要件を満たせば、紙の証憑は廃棄できるようになりました。
保管コスト削減やファイリングの手間を減らすなどの観点から、注目されています。

書類 ソフトによって、閲覧できる書類は異なります。
その他



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