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ページ更新日:2015/4/17

第2章 貸借対照表と損益計算書の仕組み

このページでは、上記にある貸借対照表と損益計算書の定義とその必要性について、身近な家計簿から取引例を使って説明します。
※貸借対照表と損益計算書の基本的な内容や見方【図解】は、 貸借対照表および損益計算書とは をご覧ください。

<このページの目次>
1.貸借対照表
 (1)単式簿記(家計簿)による記帳の問題点
 (2)複式簿記による記帳→貸借対照表の作成



2.損益計算書
 (1)財産法による利益計算の問題点
 (2)損益法による利益計算→損益計算書の作成



1.貸借対照表

(1)単式簿記(家計簿)による記帳の問題点

単式簿記とは、家計簿のように現金一つだけの増減を記録する方法です。
まずは、以下の取引例を使って、家計簿を作ってみます。この後の説明では、比較しやすいようにすべて同じ取引例を使います。お分かりになる方は、取引を簡単に見て先に進んでください。

収入:+、支出は−
単位:万円
  現金
例A 現金900万円を株主から出資してもらい会社を設立。 900
例B 現金600万円を銀行から借入した。 600
例C 現金300万円で備品を購入した。 −300
例D 現金50万円で商品を購入した。 −50
例E 商品70万円お客さんに引渡し、売上代金(現金)を受け取った。 70
例F 現金10万円で借入利息を支払った。
−10
当期末残高 1,210



<家計簿の問題点>
期末になりました。当期末残高をご覧ください。
  現金
当期末残高 1,210

これでは、『現金』の残高しか分かりません。
『現金』以外の資産(商品、建物、土地、備品など)、および、どこから資産を調達したのか(借入金、株主の出資、自分で稼いだもの)は、一つ一つの取引を振り返らないと、分かりません。
実際の取引はもっとたくさんありますから、後で、全ての取引を見返すのは大変です。






U個人事業主・法人の会計
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第1章 個人事業主・法人の会計【全体像】

第2章 会計の基本
会計の目的と処理基準
貸借対照表と損益計算書
貸借対照表と損益計算書とは
貸借対照表と損益計算書の仕組み
帳簿付けの仕方
仕訳の仕方
複式簿記による帳簿付け全体の流れ
企業会計原則の原則
一般原則
発生主義・実現主義・費用収益対応の原則
現金主義会計と発生主義会計の違い
第3章 各取引の仕訳・帳簿の付け方
現金預金取引
債権・債務の取引
物の購入
商品の仕入・売上
消耗品の購入
有形固定資産と無形固定資産の購入・減価償却

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(2)複式簿記による記帳→貸借対照表の作成

そこで、後で現金以外の残高も把握できるように、先ほどの家計簿を右へ拡張します。

     拡張
  資産の増減 左記調達先の増減  
資産   負債 資本  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金  


そして、各取引について、資産、または、その調達先の増減するタイミングで、これらの増減を記録します。これを複式簿記といいます。

■資産の増減

 資産は、現金だけでなく、事業者が保有しているもの全般のことです。
 (科目例) 現金・商品・建物・備品など

■資産の調達先の増減

 上記の資産に対する調達先を記録するわけですから、基本的には資産が増減したときに、これを記録することになります(資産の増減=その調達先の増減)。これは、大きく負債と資本に分類されます。
負債・・・銀行等から借入して資産を調達することです。将来返済しなければなりませんので、その残高を把握しておく必要があります。例えば、家や電化製品などをローンやクレジットカードで購入したとき、支払を忘れないように利用明細をとっておいたり、メモしておいたりされる方も多いかと思います。
 (科目例) 買掛金・社債・借入金(銀行からの借入)など。

●資本(純資産)・・・返済義務のない調達で、次の2つに分類されます。
資本金 株主の出資により資産を調達することです。負債と異なり、返済義務がないので、事業者にとっては安全な調達方法です。
利益剰余金 自分自身で稼いで資産を調達することです。基本的に事業者は営利活動をしているわけですから、この利益剰余金が増減する取引は多くなります。銀行・株主・経営者等どんな立場の方でも、事業者がどれだけ儲かっているのか知りたいと思います。もしも分かりにくい場合は、とりあえず、上記の負債と資本金以外とイメージしていただいてもよいです。
(自分で稼ぐ例)商品の売上、預金の受取利息
(逆に自分の稼ぎが減少する例)預金利息の支払、電気料の支払い
※実際の会計では、資本の中に資本剰余金がありますが、省略しています。



それでは、先ほどの全ての取引について、資産とその調達先の増減を記入してみましょう。

まず、資産の増減を見ます。
そして、基本的には、資産が増減したとき、その調達先の増減も記録します。これは、借りる(負債)出資してもらう(資本金)自分で稼ぐ(利益剰余金)の3つの視点から考えていきます。



貸借対照表(当期)
増加は+、減少は−
単位:万円
  資産の増減 左記調達先の増減  
資産   負債 資本  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金  
例A 現金900万円株主から出資してもらい会社を設立
 資産の増減→現金900万円の増加→右の現金の欄に+900を記録
 上記調達先の増減→資産が増加したので、その調達先も記入します。株主の出資による調達なので、資本金900万円の増加→右の資本金の欄に+900を記録
900       900    
当期首残高 900 0 0 0 900 0  
例B 現金600万円銀行から借入した
 資産の増減→現金600万円の増加
 上記調達先の増減→資産が増加したので、その調達先も記入します。銀行の借入による調達なので借入金600万円の増加
600     600      
例C 現金300万円備品を購入した
 資産の増減→現金300万円が減少し備品300万円の増加
 上記調達先の増減→上記は資産の内訳が変わっただけで、資産は増減していないので記入なし(現在の資産は、例A:株主出資900万円、例B:銀行借入600万から調達したことに変更はないので、調達先の記入なし)
-300    300            
例D 現金50万円商品を購入した
 資産の増減→現金が50万円が減少し商品50万円の増加
 上記調達先の増減→上記は資産の内訳が変わっただけで、資産は増減していないので記入なし(現在の資産は、例A:株主出資900万円、例B:銀行借入600万から調達したことに変更はないので、調達先の記入なし)
−50 50          
例E お客さんに商品50万円分を引渡し、売上代金70万円を受け取った
商品売上は、売上代金70万円の獲得と商品50万円の引渡しに分解して考えます。

売上代金70万円稼いだ
 資産の増減→現金70万円の増加
 上記調達先の増減→資産が増加したので、その調達先も記入します。自分の稼ぎによる増加なので、利益剰余金70万円の増加

70

        70

 
・一方、商品50万円の引渡して稼ぎが減った
 資産の増減→お客さんに商品を渡していますので、商品50万円の減少
 上記調達先の増減→資産が減少したので、その調達先を記入します。商品減少は自分の稼ぎ減少によるので、利益剰余金50万円の減少

※この商品売上の考え方はいろいろあります。たとえば、次のように、まとめて考えても問題ありません。
 資産の増減→現金70万円の増加、商品50万円の減少
 上記調達先の増減→上記の差額20万円分資産が増加したので、その調達先も記入します。自分の稼ぎによる増加なので、利益剰余金20万円増加
 

−50
      

−50
 
例F 現金10万円借入利息を支払った
 資産の増減→現金10万円の減少
 上記調達先の増減→資産が減少したので、その調達先も記入します。現金減少は、自分の稼ぎ減少によるので、利益剰余金10万円の減少
−10         −10  
当期末残高(合計) 1,210 0 300 600 900 10  
※文字と金額に色を付けているのは、見やすくしているだけで他に意味はありません。



さて、期末になりました。以下の当期末残高をご覧ください。
取引時に細かく記録してきたので、先ほどの家計簿とは違い、当期末残高を見るだけで、現金・商品などの資産、および、資産をどこから調達したのかが分かります。

  資産の増減 左記調達先の増減  
資産   負債 資本  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金  
当期末残高 1,210 0 300 600 900 10  

上記の取引例で見てきたように、複式簿記により資産とその調達先の増減を記録すると、必ず2つ以上の科目を記録することになります(取引によっては、3.4つの科目を記入することもあります)。

そして、以下のように当期末残高を回転すると、期末時点の貸借対照表ができあがります。
ご覧の通り、貸借対照表は、事業者が保有する資産とその調達先を表します。これを算式で表しますと、以下の通りになります。
 資産 = 負債 + 資本
これを貸借対照表等式といいます。


  資産の増減 左記調達先の増減  
資産   負債 資本  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金  
当期末残高 1,210 0 300 600 900 10  
    回転   回転
 
貸借対照表(当期末時点)
資産の増減 資産の調達先の増減
資産 負債    
 現金 1,210  借入金 600  
 商品 0       
  資本  
 備品  300  資本金 900  
     利益剰余金  10   
 合計 1,510  合計 1,510  


※先ほど家計簿を拡張した表に取引を記録しましたが、以下のように、貸借対照表の各勘定科目に取引を記入していく方が分かりやすい方は、こちらで理解してもよいです。
例A 現金900万円株主から出資してもらい会社を設立した場合は、 現金の場所に+900万円資本金の場所に+900万円と書きます。

貸借対照表(当期末時点)
資産の増減 資産の調達先の増減
資産 負債    
 現金  借入金    
  A 900   B 600  
  B 600      
  C -300      
  D −50 資本    
  E 70  資本金    
  F −10   A 900  
 商品    利益剰余金  
  D 50   E 70  
  E −50   E −50  
 備品     F −10  
  C 300      
 合計 1,510  合計 1,510  





2.損益計算書

ここからは、利益計算を見ていきます。

(1)財産法による利益計算の問題点

まずは、完成した貸借対照表を使って、1年間に事業者がいくら稼いだのか計算してみましょう。
先ほど、自分で稼いだときは、全て利益剰余金に記入してきました。この利益剰余金の当期首残高と当期末残高をご覧ください。

  資産の増減 左記調達先の増減  
資産   負債 資本  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金  
当期首残高 900 0 0 0 900 0  
〜取引略〜                 
当期末残高 1,210 0 300 600 900 10

当期の利益は、以下の通り計算できます。

 当期末の利益剰余金 10万円 − 当期首の利益剰余金 0万円 = 当期の利益 10万円

※資本(資本金+利益剰余金)に注目して、当期末の資本910万円 − 当期首の資本900万円= 10万円 で計算してもよいです。
 この計算方法を「財産法」といいます。


<上記の問題点>
しかし、当期の利益 10万円の内訳は、たくさんの取引を見返さないと分かりません。



(2)損益法による利益計算→損益計算書の作成

そこで、先ほどの貸借対照表をさらに右に拡張して、下表のような利益剰余金の内訳(当期分)を作ります。
拡張
貸借対照表(当期)               損益計算書(当期)  
  資産の増減 左記調達先の増減   利益剰余金の当期分内訳  
資産   負債 資本   費用  収益  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金   借入利息 売上原価 売上  

利益剰余金の内訳(当期分)は、以下の2つに分類されます(利益剰余金の増減=収益の増減−費用の増減)。
収益 自分で稼いただときに記録します。
 (例)商品の売上、預金の受取利息
費用 逆に、自分の稼ぎが減少したときに記録します。
 (例)預金の支払利息、商品の引渡し、電気料の支払い

これを使って、先ほどの取引をもう一度記入してみます。
貸借対照表の利益剰余金が増減する取引については(ピンク部分)、利益剰余金の当期分内訳にも記入していきます(ピンク部分)。
増加は+、減少は−
単位:万円
貸借対照表(当期)                 損益計算書(当期)
  資産の増減 左記調達先の増減      利益剰余金の当期分内訳  
資産   負債 資本   費用 収益  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金   借入利息 売上原価 売上  
例A 現金900万円を株主から出資してもらい会社を設立 900       900             
当期首残高 900 0 0 0 900 0   0 0 0  
例B 現金600万円を銀行から借入した 600     600              
例C 現金300万円で備品を購入した -300   300                
例D 現金50万円で商品を購入した −50 50                  
例E お客さんに商品50万円分を引渡し、売上代金70万円を受け取った

商品売上は、売上代金70万円の獲得と商品50万円の引渡しに分解して考えます。

・売上代金70万円を稼いだ

70

        70

利益剰余金が増加するので、右の内訳も記入。売上に+70万円を記入。     70

 
・商品50万円の引渡して稼ぎが減った   −50       −50
利益剰余金が減少するので、右の内訳も記入。商品の仕入を意味する売上原価に−50万円を記入。
  −50    
例F 現金10万円で借入利息を支払った −10         −10
利益剰余金が減少するので、右の内訳も記入。借入利息に−50万円を記入。
−10      
当期末残高 1,210 0 300 600 900 10   −10 −50 70  



期末になりました。当期末残高をご覧ください。
各収益・費用の当期末残高を見れば、当期利益の内訳がすぐに分かります。
そして、これを回転させると、当期の損益計算書になります。ご覧の通り、事業者が当期どうやって稼いだかを表しています。

  利益剰余金の当期分内訳  
費用 収益  
借入利息 売上原価 売上  
当期末残高 −10 −50 70  
 
           回転


損益計算書(当期分)
売上   70
売上原価 −50
支払利息 −10
利益 10 ←貸借対照表の利益剰余金と一致します

このように、収益−費用で利益を計算する方法を損益法といいます。


※このページでは、貸借対照表にある利益剰余金と損益計算書の収益・費用の両方に記入してきました。
しかし、次のページで説明しますが、一般的な簿記では、期中、損益計算書の収益・費用科目だけ記入して、貸借対照表の利益剰余金は増減させません。貸借対照表の利益剰余金は、期末に一括して増減させます。これが、貸借対照表と損益計算書の関連性を分かりにくくしている原因だと思います。




※次期以降の処理
貸借対照表は、「一定時点(ストック)」の残高を示す書類ですので、当期末残高をそのまま引き継ぎます。言い換えると、過去の取引全てを引き継がなければ、現在を表せないのです。
一方、損益計算書は、「当期分(フロー)」だけの利益を計算する書類ですから、「次期分」の利益計算をするために、次の通り、全て0円に初期化します。
後は、次期も同じように取引を記帳していきます。

貸借対照表(当期)                 損益計算書(当期)
  資産の増減 左記調達先の増減     利益剰余金の当期分内訳  
資産   負債 資本 費用 収益  
現金 商品 備品   借入金 資本金 利益剰余金 借入利息 売上原価 売上  
当期末残高 1,210 0 300 600 900 10   -10 -50 70  
↓当期末残高をそのまま引き継ぎます ↓0円にリセットします
 
  貸借対照表(次期)   損益計算書(次期)  
次期首残高 1,210 0 300 600 900 10   0 0 0  
ここに次期の取引を記入していきます。                        




<このページのまとめ>
このページでは、貸借対照表と損益計算書の定義とその必要性を説明しました。
貸借対照表 一定時点で、事業者が保有する資産(左側)とその調達先(右側)を表します。
損益計算書 貸借対照表にある利益剰余金の当期増減分内訳を表します。簡単に言うと、事業者が当期どうやって稼いだかです。



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