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このページの最終更新日:2022/09/06

第3章 債権・債務の取引

このページの内容

このページでは、債権・債務の取引をご説明します。

このページの目次
債権・債務の勘定科目
仕訳例

   

債権・債務の勘定科目

債権・債務の勘定科目について、比較しながらご紹介します。

個人事業主と法人の帳簿づけ-債権債務


資産

相手に対して、資産・サービスの提供や支払だけ完了した場合、後でこの対価を受け取る権利(債権)が発生します。これを資産計上することになります。

この債権を大きく分類すると、以下の通り、①未収、②前払い、③貸付になります。

負債

相手から、資産・サービスの提供や支払だけ受けた場合、後でこの対価を引渡す義務(債務)が発生します。これを負債計上します。

この債務を大きく分類すると、以下の通り、①未払い、②前受、③借入になります。

①未収
売主が資産やサービス提供だけ完了したが、未収のものです。
①未払い
買主が資産購入やサービスの受取りだけ完了し、未払いのものです。
勘定科目 取引内容
売掛金 通常の営業で商品を売上げたが、まだ未収入のお金
(例)商品売上の未収入金
未収金 通常の営業以外で、資産の売却などをしたが(非継続的な取引)、まだ未収入のお金
(例)有価証券・車両・備品の売却などによる未収入金
※代金回収日が到来済のため、相手に請求可
未収収益 一定の契約により継続してサービス提供を行う場合(継続的な取引)、 すでにサービス提供をしたが、まだ未収入のお金
(例)不動産や金銭の貸付などの未収入金
※代金回収日が未到来のため、相手に請求できない

勘定科目 取引内容
買掛金 通常の営業で商品などを仕入れたが、まだ未払いのお金
(例)商品や材料など購入の未払金
未払金 通常の営業以外で、資産購入などをしたが(非継続的な取引)、まだ未払いのお金
(例)有価証券・車両・備品の購入などによる未払金
※支払期日が到来済のため、相手に対し支払義務あり
未払費用 一定の契約により継続してサービス提供を受ける場合(継続的な取引)、 すでにサービス提供を受けたが、まだ未払いのお金
(例)不動産や金銭を借りたことに対する未払金
※支払期日が未到来のため、相手に対しまだ支払義務がなし

②前払い
買主が資産購入やサービスを受けるための前払い
②前受
売主が資産やサービス提供する前の受取
勘定科目 取引内容
前払金(または前渡金) 商品やサービス(非継続的な取引)を受けるための 前払い(手付金)
(例)商品や材料などの仕入や外注加工
前払費用 一定の契約により継続してサービス提供を受ける場合(継続的な取引)、 まだサービス提供されていない分に対する前払い

勘定科目 取引内容
前受金 通常の営業で商品やサービス提供する前に、受取ったお金(手付金)
(例)商品売上前の前受金
※将来商品などを引き渡す義務を負債計上します。
前受収益 一定の契約により継続してサービス提供をする場合(継続的な取引)、 まだサービス提供していない分に対する前受金

③金銭の貸付等
③金銭の借入等
勘定科目 取引内容
貸付金 従業員や取引先などに対する資金の貸付
※期末決算日の翌日から1年以内に返済される場合は、短期貸付金。
※法人の決算書に社長に対する立替金や貸付金が残っていると、銀行からの印象は良くありません。
※貸付の際は、実際に借入したときに適用される利率などで利息を計算し、これを徴収する必要があります。利息を徴収しないと、税務調査でその利息相当分を給与などの支給と指摘されることがあります。
立替金 従業員や取引先などに対し、事業主が一時的に立替えたお金
仮払金 使途が不明な場合や金額が確定していない場合に、一時的に概算で支払ったお金

勘定科目 取引内容
借入金 銀行等からの資金の借入
※期末決算日の翌日から1年以内に返済される場合は、短期借入金。
預り金 従業員や取引先などから、事業主が一時的に預かったお金
(例)従業員給与に対する源泉所得税や社会保険料の預り
仮受金 使途が不明な場合や金額が確定していない場合に、一時的な受入れたお金

※未収収益・前払費用・未払費用・前受収益は、経過勘定項目と呼びます。


             

売掛金・買掛金の仕訳例


個人事業主と法人の帳簿づけ-債権債務の例
債権者(売主側) 債務者(仕入側)
期中取引1 商品を10万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした。
借方 金額 貸方 金額
売掛金 10 売上 10
課税売上(ただし、一部例外がある)

商品10万円を掛仕入れした。
借方 金額 貸方 金額
仕入 10 買掛金 10
課税仕入(ただし、一部例外がある)

期中取引2 上記代金のうち、5万円が振り込まれた。
借方 金額 貸方 金額
普通預金 5 売掛金 5
不課税

※借方・貸方が分かりにくい方へ
後でお金を受け取ったときの仕訳は、債権や債務の計上時の仕訳を振替えるイメージをしてもよいです。
この例だと、期中取引1では売掛金が10万円増加しています。期中取引2では、この代金5万円を受け取ったため、上記の売掛金を取り消して、普通預金を増加させます。
上記代金のうち、5万円を振り込んだ。
借方 金額 貸方 金額
買掛金 5 普通預金 5
不課税

期末決算 貸倒引当金を設定する場合
借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 ×× 貸倒引当金 ××
不課税

売掛金、受取手形などの金銭債権は、得意先の倒産などにより、将来回収できないことがあります。
そこで、会計基準では、費用収益対応の原則により、当期の売上に対して回収できない見込額を費用計上しなければなりません。
個人事業主の確定申告では、青色申告者に限り、この費用計上が認められています。
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その他の勘定科目についても、基本的には同じように仕訳します。

債権・債務の勘定科目には、通常、補助科目を設定し、取引先別に管理します。


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