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ページ更新日:2016/8/23

第2章 現金主義会計と発生主義会計による帳簿付けの違い

このページの内容

現行の会計基準では、前述の通り、発生主義会計が採用されています。
ここでは、現金主義会計と発生主義会計の違いを説明します。

このページの目次
現金主義会計と発生主義会計の比較
信用取引があるケースの期間損益計算
商品在庫があるケースの期間損益計算


   

1.現金主義会計と発生主義会計の比較

両者の違いは下表のとおりです(【○】→メリット、【×】→デメリット)。
現金主義会計 発生主義会計
定義 費用・収益は、家計簿やお小遣い帳のように、現金預金の入出金があったときに記帳します。 収益は、実現主義(資産引渡しやサービス提供時)
費用は、発生主義(資産やサービスの消費時)、及び、費用収益対応の原則により記帳します。
特徴 期間損益計算
【×】適切な損益計算ができない

※ただし、後述するように、キャッシュフロー計算書より、現金主義会計に基づき、現金の流を把握をすることも必要です。
【○】適切な損益計算ができる

客観性など
【○】収支の事実に基づくため客観的
【○】手間がかからない
【×】収支の事実に基づかないため客観性に欠ける
【×】手間がかかる
備考 個人事業主の確定申告において、青色申告特別控除65万円を受けるためには、発生主義会計による帳簿付けが必要です。


ここからは、上記の「期間損益計算」について、取引例を使って、現金主義会計と発生主義会計の違いをご説明します。
次の通り、1.信用取引、または、2.商品在庫・固定資産があるケースで両者の違いがでてきます。

  

2.信用取引があるケースの期間損益計算

現在、商品購入時にクレジットカードをつかったり、後日振込をしたり、信用取引は多く行われています。
このようなケースにおいては、発生主義会計による期間損益計算の方が、以下の点で優れています。
@収益の計上時期 経営活動の成果を計測するためには、商品販売(=引渡し)が最も重要であり、その後の代金回収は付随業務にすぎません。商品販売(=引渡し)のタイミングで収益を計上する発生主義会計の方が優れています。
A収益と費用の対応関係 発生主義会計の方が、各会計期間ごとに収益と費用が結びついているため、各会計期間の経営成績がより適切に表されます。

それでは、以下の例で比較してみましょう。

(計算例1)
○当期
取引1 商品10万円を現金で購入した。
取引2 上記商品を15万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした。
○次期
取引3 商品の代金15万円を回収した。



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現金主義会計と発生主義会計の違い
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現金預金取引
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物の購入
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現金主義会計 発生主義会計(※)
当期 取引1 商品10万円を現金で購入した  仕入 10 / 現金 10
→支出したため費用計上
商品 10 / 現金 10
取引2 上記商品を15万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした - 売掛金 15/売上 15
売上原価 10/商品 10
→販売(=引渡し)したため売上と費用計上
期末決算 - -
当期の損益計算 収益   0万円
費用 ▲10万円
利益 ▲10万円
収益  15万円
費用 ▲10万円
利益  5万円
@当期は、収益0万円となり、商品販売(=引渡し)の重要な実績が反映されていません。
@当期は、収益15万円となり、商品販売(=引渡し)の重要な実績が、当期に反映されています。
A当期に、収益15万円と費用10万円の両方とも計上されるので、経営成績が適切に表わされます。
次期 取引3 商品15万円の代金を回収した 現金 15 / 売上 15
→入金したため売上計上
現金 15 / 売掛金 15
次期の損益計算 収益 15万円
費用 0万円
利益 15万円
収益 0万円
費用 0万円
利益 0万円
A当期は費用▲10万円だけ、次期は収益15万円だけ計上される。収益と費用の計上が期間的にずれてしまい、経営成績が適切に表わされません。
※発生主義会計では、商品販売取引は一般的には三分法を使いますが、ここでは売上原価対立法により、仕訳しています。


           

3.商品在庫があるケースの期間損益計算

次に、期末決算に商品の在庫があるケースを見ていきます。
このようなケースでも、発生主義会計による期間損益計算の方が、以下の点で優れています。
@在庫の資産計上 商品在庫は価値があるため(消費されていないため)、損失ではなく資産計上する点が実態を適切に表しています。
A収益と費用の対応関係 信用取引があるケースと同様に、発生主義会計の方が、各会計期間ごとに収益と費用が結びついているため、各会計期間の経営成績がより適切に表されます。

それでは、(計算例1)について、取引2を当期ではなく次期に行った場合を見ていきましょう

(計算例2)
○当期
取引1 商品10万円を現金で購入した。
○次期
取引2 上記商品を15万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした。
取引3 商品の代金15万円を回収した。

現金主義会計
※以下の仕訳と利益は、(計算例1)と全く同じです。
発生主義会計(※)
当期 取引1 商品10万円を現金で購入した 仕入 10 / 現金 10
→支出したため費用計上
商品 10 / 現金 10
期末決算 - -
当期の損益計算 収益   0万円
費用 ▲10万円
利益 ▲10万円
収益 0万円
費用 0万円
利益 0万円

※資産-商品 10万円
@費用▲10万円→商品在庫10万円分は損失になってしまいます。現金10万円が商品に姿を変えただけで、価値はあるので(消費されていないので) 、損失にすべきではありません。(もしも分かりにくい場合は、商品を株の購入などに置き換えるとイメージしやすいかもしれません。期末決算に株10万円が残っていた場合、これが損失になるのは適切ではありません)
※高額で長期間使う設備を購入した場合も、一度に大きな損失が計上されてしまい、業績評価が難しくなります。この場合、事業主は積極的に設備投資を行いにくくなってしまいます。
@当期には、価値のある商品10万円が適切に資産計上されます。
次期 取引2 上記商品を15万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした - 売掛金 15 / 売上 15
売上原価 10 / 商品 10
→販売(=引渡し)したため売上と費用計上
取引3 商品15万円の代金を回収した 現金 15 / 売上 15
→入金したため売上計上
現金 15 / 売掛金 15
期末決算 - -
次期の損益計算 収益 15万円
費用  0万円
利益 15万円
収益  15万円
費用 ▲10万円
利益  5万円
A当期は費用▲10万円だけ、次期は収益15万円だけ計上される。収益と費用の計上が期間的にずれてしまい、経営成績が適切に表わされません。
A次期に、収益と費用の両方とも計上されるので、経営成績が適切に表わされます。
※発生主義会計では、商品販売取引は一般的には三分法を使いますが、ここでは売上原価対立法により、仕訳しています。


※キャッシュフロー計算書の必要性について
上記の通り、発生主義会計による適切な損益計算を行うことは大切なことです。
しかし、この利益と実際の現金の増減は一致しません。利益があっても、借金の返済など支払うための現金が不足すれば黒字倒産ということになります。そこで、企業活動を安全に行うためには、現金主義会計の考え方に基づき、現金の流れを把握することも必要になります。このため、主に大企業に適用される金融商品取引法では、「キャッシュフロー計算書」の作成も義務付けられています。



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