第2章 発生主義会計と現金主義会計による帳簿付けの違い
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現行の会計基準では、前述の通り、発生主義会計が採用されています。
ここでは、発生主義会計と現金主義会計の違いを説明します。
このページの目次
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1.発生主義会計と現金主義会計の比較
両者の違いは下表のとおりです(【○】→メリット、【×】→デメリット)。
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発生主義会計 |
現金主義会計 |
定義 |
収益は、実現主義(資産引渡しやサービス提供時)
費用は、発生主義(資産やサービスの消費時)、及び、費用収益対応の原則により記帳します。 |
費用・収益は、家計簿やお小遣い帳のように、現金預金の入出金があったときに記帳します。 |
特徴 |
期間損益計算 |
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※ただし、後述するように、キャッシュフロー計算書より、現金主義会計に基づき、現金の流を把握をすることも必要です。 |
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客観性など |
【×】収支の事実に基づかないため客観性に欠ける |
【×】手間がかかる |
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【○】収支の事実に基づくため客観的 |
【○】手間がかからない |
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備考 |
個人事業主の確定申告において、青色申告特別控除65万円を受けるためには、発生主義会計による帳簿付けが必要です。 |
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ここからは、上記の「期間損益計算」について、取引例を使って、発生主義会計と現金主義会計の違いをご説明します。
次の通り、1.信用取引、または、2.商品在庫・固定資産があるケースで両者の違いがでてきます。
2.信用取引があるケースの期間損益計算
現在、商品購入時にクレジットカードをつかったり、後日振込をしたり、信用取引は多く行われています。
このようなケースにおいては、発生主義会計による期間損益計算の方が、以下の点で優れています。
①収益の計上時期 |
経営活動の成果を計測するためには、商品販売(=引渡し)が最も重要であり、その後の代金回収は付随業務にすぎません。商品販売(=引渡し)のタイミングで収益を計上する発生主義会計の方が優れています。 |
②収益と費用の対応関係 |
発生主義会計の方が、各会計期間ごとに収益と費用が結びついているため、各会計期間の経営成績がより適切に表されます。 |
それでは、以下の例で比較してみましょう。
(計算例1)
○当期
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取引1 商品10万円を現金で購入した。 |
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取引2 上記商品を15万円で販売し(=引渡し)、代金は掛とした。 |
○次期
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