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このページの最終更新日:2022/09/06

 所得控除
(生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除)

このページの内容

<Step2>所得控除は、以下の通り、人に関する控除(人的控除)、及び、損害や支払に関する控除(物的控除)に分類できます。

このページでは、損害や支払に関する控除のうち、保険料支払に関する控除をご説明します。

個人事業主の確定申告[全体像]
 個人事業主の確定申告-所得控除

このページの目次
人に関する所得控除 と 損害・支払に関する所得控除 の違いとポイント
保険料の支払いに関する所得控除(生命保険料控除・地震保険料控除など)
生命保険料控除の計算方法
地震保険料控除の計算方法
確定申告書の書き方
 

※15種類の所得控除の一覧比較とポイントは、第1章 確定申告のやり方をご覧ください。



  


Ⅰ個人事業主の確定申告
全ページ一覧

国税庁HPの全体の流れと図表を分かりやすく解説します。

 

Ⅱ個人事業主・法人の会計

Ⅲ消費税法

Ⅳ会計ソフト比較解説

Ⅴ個人事業主・法人におすすめのフリーソフト・サービス

Ⅵ自作フリーソフト[二刀流宛名印刷]


人に関する所得控除 と 損害・支払に関する所得控除 の違いとポイント

それぞれの主な特徴は、以下の通りです。
所得控除を受ける要件 確定申告書の添付書類
人に関する所得控除

(基礎控除、配偶者控除、扶養控除など)
主に、自分や扶養家族について、生計を一にするか・年齢・合計所得金額(※1)で判定します。

「生計を一にする」とは?
基本的には同居している場合、かつ、別居している場合でも生活費を送金などしている場合は、この要件を満たします(国税庁「「生計を一にする」の意義」より)。

年齢などは、申告年分の12/31の現況で判定します。たとえば、2021年分の確定申告(申告期間:2022/2/15~3/15)の場合、2021/12/31の現況で判定します。
また、年の途中で亡くなった方は、その亡くなった日の現況で判定します。 

通常不要
(勤労学生控除だけ、添付書類が必要なケースあり(※2))
損害・支払に関する所得控除

(生命保険料控除、地震保険料控除など)
主に、特定の支出金額をベースに計算します。
一部の所得控除では、「総所得金額等」(※1)も使います。


通常必要(※2)
(※1) 「合計所得金額」と「総所得金額等」の違い
「合計所得金額」と「総所得金額等」は、いずれも、1/1~12/31の10種類(事業所得・給与所得など)の所得を下図の区分で計算した合計金額です。各所得は、基本的に、収入-必要経費で計算します(所得=収入ではありません)。
「合計所得金額」と「総所得金額等」は、通常一致しますが、純損失の繰越控除がある特殊な場合は、異なります。
詳細は、以下の 個人事業主の確定申告[全体像]の<Step1>各所得の計算(収入-必要経費) ページの図をご確認ください。
『所得税の確定申告』   総所得金額 
 - 各所得控除の合計
   課税所得金額
 × 所得税率    .
   所得税額
 - 各税額控除の合計
   基準所得税額


  期中源泉徴収された額

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(※2) 給与所得のある方が、年末調整で控除した所得控除(生命保険料控除、地震保険料控除など)については、確定申告書に添付する必要はありません。



  

保険料の支払に関する所得控除一覧

このページでご紹介する所得控除は、以下の4つです。
このうち、生命保険料控除と地震保険料控除の計算方法は、後述します。
控除の要件 所得控除額 確定申告書の添付書類
生命保険料控除 1~12月に生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払った人

※対象になるのは、保険金の受取人が、以下の場合です。
生命保険料と介護医療保険料→自分・配偶者・親族
個人年金→自分・配偶者
※自分が支払っていれば、契約者は、自分でなくても問題ありません。
例えば、自分の妻が契約者の生命保険契約でも控除の対象になります。
0万円超~12万円

計算方法
支払額の証明書(10~11月頃:保険会社発行)(※1)
ただし、旧制度の一般の生命保険料で1契約9,000円以下のものを除きます。

※「生命保険料控除証明予定額のお知らせ」は、「生命保険料控除証明書」として使用できません。
地震保険料控除 1~12月に地震保険料を支払った人
※対象になるのは、家屋や家財の所有者が、自分または生計を一にする配偶者・親族の場合です。
0万円超~5万円

計算方法
支払額の証明書(10~11月頃:保険会社発行)(※1)
社会保険料控除 1~12月に健康保険、国民年金、厚生年金、介護保険、後期高齢者医療制度などの社会保険料を支払った人
※対象になるのは、自分または生計を一にする配偶者・親族が負担する社会保険料です。
例えば、子供の過去の国民年金保険料を支払ったなど。
1年間に支払った全額 国民年金保険料と国民年金基金の掛金については、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」等(10~11月頃:日本年金機構発行)(※1)
小規模企業共済等掛金控除 1~12月に小規模企業共済等の掛金を支払った人 1年間に支払った全額 支払額の証明書(※1)
ただし、給与所得者の場合は、給与天引分を除きます。
(※1)給与所得のある方が、年末調整で控除した所得控除については、確定申告書に添付する必要はありません。



  

生命保険料控除の計算方法

保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を使って、以下の5つの区分に分けて計算します。
一般の生命保険料 個人年金保険料 介護医療保険料
旧契約
(H23/12/31以前契約)
旧制度の生命保険料 旧制度の個人年金保険料 これはありません
新契約
(H24/1/1以降契約)
新制度の生命保険料 新制度の個人年金保険料 新制度の介護医療保険料

最後に、合計して控除額を計算します(最高12万円)。


詳細は、以下の手順です。
会計ソフトや給与計算ソフトを使うと、通常、Step1を入力すれば、生命保険料控除額が自動計算されます。

Step1 証明書の分類
毎年10.11月頃、保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」を準備します。

以下2つの生命保険料控除証明書があったケースで、実際に控除額を計算しながら手順を説明します。
以下は、右へスクロールできます



生命保険料控除証明書サンプル 生命保険料控除証明書サンプル



全ての証明書について、  赤枠内  の各保険と「申告額」を下表にそれぞれ割り振り合計します。
通常、証明書の「申告額」を記入しますが、保険料を年払いしていたり、前納したり、年の途中で解約した場合は、「証明額」を記入します。重要なのは、1年分の確定申告をするわけですから、1~12月の支払額(払込保険料-配当等)することです。通常、証明書と一緒に記入の仕方が送付されますので、そちらを確認するのが間違いないです。
※証明書によっては必要な情報が散らばっていたり細かいので、まずは、証明書の「旧制度・新制度」 「一般・公的年金・介護医療」 「申告額」というキーワードをマーカーした方が分かりやすく間違いないと思います。
旧制度の一般、新制度の一般について、下表で合計 旧制度の個人年金、新制度の個人年金について、下表で合計 新制度の介護医療について、下表で合計
区分 1~12月の支払額
旧制度 一般 70,000 (1)
10,000 (3)
計 80,000
新制度 一般 計 48,000 (2)
※上記の合計2つは、確定申告書B第二表に記入します
区分 1~12月の支払額
旧制度 個人年金 計 46,125 (4)


新制度 個人年金 計 36,000 (5)
※上記の合計2つは、確定申告書B第二表に記入します
区分 1~12月の支払額
- - -


新制度 介護医療 計 40,000 (6)
※上記の合計は、確定申告書B第二表に記入します


Step2 控除額の計算


一般の生命保険料の控除額計算


個人年金保険料の控除額計算


介護医療保険料
旧制度と新制度ごとに、控除額を計算します。 左記同様、旧制度と新制度ごとに、控除額を計算します。

■旧制度の控除額
区分 1~12月の支払額
旧制度 一般 70,000 (1)
10,000 (3)
計 80,000
合計 80,000円を下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
25,000円以下 支払合計の全額
25,000円超50,000円以下 支払合計×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払合計×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円
旧制度の控除額 45,000円
※円未満の端数は切り上げ


■旧制度の控除額
区分 1~12月の支払額
旧制度 個人年金 計 46,125 (4)


合計 46,125円を下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
25,000円以下 支払合計の全額
25,000円超50,000円以下 支払合計×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払合計×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円
旧制度の控除額 35,563円
※円未満の端数は切り上げ

■新制度の控除額計算

区分 1~12月の支払額
新制度 一般 計 48,000 (2)
合計48,000円を下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
20,000円以下 支払合計の全額
20,000円超40,000円以下 支払合計×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払合計×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円
新制度の控除額 32,000円
※円未満の端数は切り上げ

■新制度の控除額計算

区分 1~12月の支払額
新制度 個人年金 計 36,000 (5)
合計36,000円を下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
20,000円以下 支払合計の全額
20,000円超40,000円以下 支払合計×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払合計×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円
新制度の控除額 28,000円
※円未満の端数は切り上げ

■新制度の控除額計算

区分 1~12月の支払額
新制度 介護医療 計 40,000 (6)
合計40,000円を下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
20,000円以下 支払合計の全額
20,000円超40,000円以下 支払合計×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払合計×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円
新制度の控除額 30,000円
※円未満の端数は切り上げ


  


以下のうちいずれか大きい方が、生命保険料控除額になります。
旧制度の控除額 45,000

旧制度の控除額
+新制度の控除額
(最高40,000円)
40,000
大きい方
生命保険料控除額 45,000円

以下のうちいずれか大きい方が、個人年金保険料控除額になります。
旧制度の控除額 35,563円

旧制度の控除額
+新制度の控除額
(最高40,000円)
40,000
大きい方
個人年金保険料控除額 40,000円

上記がそのまま介護医療保険料控除額になります。

介護医療保険料控除額 30,000円


上記3つの合計115,000円(最高12万円)が生命保険料控除額になります
(上記は、確定申告書B第一表に記入する)



ここまで、右へ横スクロールできます



  

地震保険料控除の計算方法

保険会社から送付される「地震保険料控除証明書」を使って、地震保険料と旧長期損害保険料に分けて計算します。最後に、控除額を合計します(最高5万円)。

詳細は、以下の手順です。
会計ソフトや給与計算ソフトを使うと、通常、Step1を入力すれば、地震保険料控除額が自動計算されます。

Step1 証明書の分類
毎年10.11月頃、保険会社から送付される「地震保険料控除証明書」を準備します。

以下2つの地震保険料控除証明書があったケースで、実際に控除額を計算しながら手順を説明します。


全ての証明書について、契約ごとに、地震保険料、または、旧長期損害保険料に割り振り合計します。
1~12月の支払額(払込保険料-配当等)を記入します。通常、証明書と一緒に記入の仕方が送付されますので、そちらを確認するのが間違いないです。
地震保険料控除証明書サンプル

契約ABCの  赤枠内  (1)地震保険料は、以下に記入します。
地震険料控除証明書サンプル

契約XYZの  赤枠内  の(3)旧長期損害保険料は、以下に記入します。
※一つの契約で、地震保険料と旧長期損害保険料の両方に該当する場合は、どちらか一つだけしか控除を受けられません。この契約XYZは、(2)の地震保険料を選択するよりも、(3)旧長期損害保険料の方が有利になるので、こちらに記入します。
1~12月の支払額
地震保険料 計 5,000 (1)
※上記の合計は、確定申告書B第二表に記入します
1~12月の支払額
旧長期損害保険料 計 33,000 (3)
※上記の合計は、確定申告書B第二表に記入します

Step2 


地震保険料の控除額計算


旧長期損害保険の控除額
1~12月の支払額
地震保険料 計 5,000 (1)
支払額がそのまま控除額になります。
地震保険料の控除額 5,000円

1~12月の支払額
旧長期損害保険料 計 33,000 (3)
下表に当てはめます。
1~12月の支払合計 控除額
10,000円以下 支払合計の全額
10,000円超20,000円以下 支払合計×1/2+5,000円
20,000円超 一律15,000円
旧長期損害保険料の控除額 15,000円
※円未満の端数は切り上げ


上記2つの合計20,000円(最高5万円)が地震保険料控除額になります
(上記は、確定申告書B第一表に記入する)





       

確定申告書の書き方

ここでは、所得控除を確定申告書Bに記入する流れを説明します。

確定申告書Bの第二表は、第一表の明細です。
下図第二表の  赤枠内  に、各保険料の支払額 → 第一表の  赤枠内  に、所得控除額 の流れで記入します。

※確定申告書A(第一表と第二表)の場合でも、書き方に大きな違いはありません。
 様式は、確定申告書B(第一表と第二表)とほとんど同じです。
※他の所得控除も、基本的には同じように記入していきます。

確定申告書ABの書き方-所得控除






 

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